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「そうだったんだ……」
真っ黒な写真を改めて見つめる僕に、
「これにはなんにも写ってないけれど、でもね、私には見えるのよ……あの人に幸せな笑みを向けてる私の顔が……」
おばあちゃんが言う。
「うん、わかるよ。きっと、おじいちゃんにも、見えていたんだろうね。おばあちゃんの笑う顔が」
僕の言葉に、「ありがとうね……」と、おばあちゃんが笑顔を作る。
「この写真は、大事に取っておかないと。見つけてくれて、よかった」
そう言って、おばあちゃんはその写真を本当に大事そうに胸に押し当てて、
「……あの人と一緒にいられて、幸せだった……」
そう呟いて、一筋の涙を零した……。
終わり
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