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■ 日曜日 ■
翌日、金剛寺のクソ住職に昨日の無断欠席を詫びに行ったら、晋太郎が言ったのとほとんど同じ事を二時間説教された。板の間で正座させられての説教は車の中よりキツかった。いっそ殴ってくれと瑞輝は思った。おまえが未熟だからこういうことになると責められるぐらいなら、バシッと一発殴ってくれた方がスッキリする。最終的には「おまえはわかってない」と晋太郎も金剛寺の桜木住職も言う。「人が死ぬかもしれないんだぞ」と。
そりゃ死ぬだろうよ。誰だって死ぬんだよ。別に殺されようが事故だろうが病気だろうが、死ぬタイミングで死ぬんだよ。俺がどんだけ頑張っても変えられるもんじゃねぇんだよ。
それがわかってない、と言われる。わかるか。わかりたくもねぇ。
罰として稽古もつけてもらえず、武道場の掃除をさせられ、座禅を組まされ、心根が曲がっとるとか言われて写経させられたりした。根性が曲がってんのはしょうがねぇだろ、龍が憑いてんだよと言ったら、その開き直りが悪いと怒られた。
昼飯を食べながら、さらに散々怒られた後に、やっと帰ってもいいと言われて瑞輝は金剛寺を出た。
歩いて数分のところにある公園に立ち寄った。イチョウの大木があって、今の季節は緑の扇形の葉っぱが無数についていた。秋になると見事に黄葉する。
瑞輝はその木の根元に座りこみ、幹に背中をつけた。ため息をつく。
俺のせいかよ。
センター長は殴られるか何かの衝撃を受けて意識不明の重体だった。晋太郎が脅すのだ。もしセンター長が亡くなったり、逃げた犯人が怯えて自殺でもしたら、おまえのミスはもっと大きくなると。意識のないオッサンに諦めるなってすがりつけって言うのか。見た事もねぇ犯人を探して、自殺すんなって言うのか。警察に早く捕まえてくれって願うぐらいしかできないだろうが。
ゴルフクラブで殴られたのが、そんなに悪いことかよ。瑞輝は息をついた。防げただろ、だと? 晋太郎も坊主も好きなこと言いやがって。俺がわざと気を失って、センター長が殴られるお膳立てをしましたって言いたいのか。言いたいんだ。そう言ってるんだ。
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