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■ 金曜日 2 ■
学校では相変わらずクラスが微妙に避けるという状況の中で授業を受けていた。しかしそれが特に苦痛というわけでもない。小学校の頃から似たような環境で生きてきた。
困ったのは渡瀬チョコのことだった。俺は何をしたのだろうと瑞輝は考え続けた。昨日、山内先輩に聞けば良かったが、ユアの話が衝撃的だったのでついでに聞く事ができなかった。
どうやら俺が何かしたせいでマカロンも壊れ、チョコとのささやかなスイーツ談義も壊れたのだと思うと、せめて原因を知りたかった。それを聞こうとすると、渡瀬チョコはするりと逃げた。瑞輝が声をかけると、彼女の友達が呼び、彼女を連れて行った。明らかに避けられていた。
元に戻そうというのが間違いなのかもしれないと瑞輝は思った。しかし俺が悪いなら謝りたいという気持ちもある。理由もなく謝れば女子は怒るのだということだけは山内先輩に教わった。だからそれはできない。
瑞輝はルートを変えることにした。渡瀬チョコは鉄壁の友人に守られている。だったらもう一人に聞く。
「伊瀬谷さん」
休み時間、瑞輝は隣のクラスに行き、京香を呼んだ。京香は驚いた顔で瑞輝を見た。それから怪訝そうな顔をしてやってきた。こっちは援護射撃はない。一人でも充分強いからだろう。
「何?」廊下に出て来た京香は瑞輝を睨みつけてから言った。
瑞輝は出来る限り愛想の良い顔をしようとした。とにかく努力はした。
「聞きたい事が」
京香は瑞輝を細い目で睨んだ。「何?」
「俺、渡瀬さんにそんなひどいことした? 覚えがないんだけど」
いきなりパシィと頬を張られた。瑞輝は驚いた。廊下にいた他の生徒も驚いて二人を見た。京香自身も驚いたらしく、少し戸惑うように「バカ」と言って教室に戻ってしまった。
ひょろひょろと城見がやってきて「すげぇ、修羅場?」とやってきた。
「殴られてぇのか」と瑞輝が言うと、彼はチッと舌打ちをした。
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