セピア

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亡くなった母の遺品を整理していた。 小さな引き出しから、1枚の写真。 「誰だろう?」 写真には、若い女性の後ろ姿。桜の樹の下に(たたず)み、少し空を見上げている。 写真は珍しくセピア色。赤みがかり茶色の(ふる)いような写真。 裏を見る。 【20✕✕.4月某日 庭にて】 私と母が生活していた小さな平屋には、庭というには寂しい広さ。 桜の樹もない。 「どこ?!」 先月、急逝した母。 短大を卒業し、就職して1年経った時だった。 『(みどり)ちゃん!! お母さんがっ!!』 突然の連絡で病院に着いた時には、母は意識が朦朧(もうろう)としていた。 その夜、母は眠るように息を引き取り旅立った。 私をひとり、遺して……。
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