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初恋の思い出と別れ
僕は芝生の上で座りながら、初恋をしたときのことを回想している。ある女の子と初恋をしたのは、偶然の出会いから始まった。
高校時代、授業が終わって文芸部の部室へ行ってみると、部室の前に1人の女の子が立っていた。その女の子は、文芸部に入部したく部室までやってきたのである。
こうして文芸部の入部が認められた女の子は、他の部員とともに学園祭で販売する小説同人誌の執筆に励んでいた。やがて、小説の執筆で僕が女の子にアドバイスするようになってから、2人は次第に惹かれ合うようになった。
そして、僕はある思いを胸に抱きながら告白することにした。
その日、僕は告白するために学校近くの公園へ女の子を連れて行った。キンモクセイの木の下で、ぼくは女の子にこう伝えた。
「僕は、君のことが本当に好きなんだ!」
僕の実直な気持ちに、女の子のほうもすぐに快諾した。こうして、2人は遊園地や映画館などでデートを重ねていった。
しかし、そんな2人の関係は大学進学を機に変わることになった。関西の大学へ進学した僕に対して、女の子のほうは東京の大学への進学と異なる進路となった。それでも、大学に進学した当初は、2人の間で何とか手紙やメールでやりとりをする遠距離恋愛を続けていた。
けれども、大学進学から1年を過ぎた辺りからパッタリと連絡がこなくなってきた。そこで、僕は改めて女の子の気持ちを伝えようと手紙を書いて送った。
数日後、女の子から返信の手紙が届いたのですぐに封を切った。そこに書かれていたのは、別の男とつき合っているという内容である。
それとともに、女の子は僕にこのことを伝えていなかったことを詫びる旨のことも書かれていた。こうして、僕の初恋は終わりを告げることになった。
あの時から十数年たった今でも、初恋のときの思い出は色あせることはない。僕は、青空に浮かぶ飛行機雲を見ながら女の子の顔を浮かべている。
(※)当作品は2018年9月29日に『深夜のN分小説執筆』へ参加するためにtwitter上で発表したものです。
お題:回想、キンモクセイ、飛行機雲
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