ピキオン山の怪物（エディプスとスフィンクス ダイジェスト版）

幅員減少

　青年は、馬を引く馭者と並んでデルフォイ方面に少し歩いてもどることになった。
「あの、何を読んでるんですか？」
「あ、これですか。“月刊・線文字B”です」
「お！最新号ですか！私も定期購読しています。でもテーバイではだいたいひと月遅れですよ」
「それはどうして？」
「国の入り口に怪物がいて宅配が通れないことがあるんですよ」
「あ～、それなんか聞いたことがあります」
「で、今月号の特集は？」
「え～っと、巻頭特集は、“あなたはどっち派？カサンドラ占いとデルフォイの神託”、インテリアコーナーは“再流行の兆し、イオニア式コラムに注目！”このコラムは記事じゃなくて円柱のことですね。ファッション特集は“やっぱりエルメス！キュートな翼付きサンダルと帽子”あとは“ダイダロスの迷宮クイズ”、そんな感じです」
「けっこう女子向けですね」
「“アマゾネスの袋とじ”もありますけど」
「わぉ！」