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「よろしかったら差し上げましょうか?」
「え?いいんですか?」
「ええ、もう1回読んじゃってますし、それに銀貨までいただいてますので」
「いや~ありがとうございます。正直、王様のお忍びのお伴って、おおっぴらには何もできないですから。そのナニが終わるまで、わたしはこっそり隠れてないといけないんですよ。まあ、退屈で、退屈で・・・」
しばらく進みポーキスの三叉路までもどると、青年は馭者に別れを告げた。
「では、ここで失礼します」
「旅のお方もお元気で、テーバイでお会いできるといいですね。あ、入り口に狛犬みたいな怪物がいますから、気をつけてくださいね」
青年の名は、エディプス。コリントス王に王子として育てられたが、実の息子ではないという噂を耳にした。心配になったエディプスは、真偽を確かめにデルフォイに行く。そこでアポロンの神託を伺うと、王が本当の父かどうかの質問はスルーされ、「父を殺し、母と××する」というとんでもない予言が下る。本人としてはコリントス王の実子であると信じているため、故郷に戻るのはまずかろうと考え、逆の方向に向かった。その先にはテーバイがあり、さっきすれ違った馬車に乗っていた、ちょっとスケベな王様がライオス王である。
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