第5章 真実を知り・・・「そして私は叫んだ」

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男子児童に気づいたいつかの顔から笑顔が消えていき、次第に恐怖に満ちた顔付きに変わっていく。 何か様子がおかしい? 「やいっ!バケモノ!お前なんでこんな所で遊んでんだよっ!」 「そーだそーだ!」 「「バッケモノ!バッケモノ!バッケモノ!バッケモノ!」」 「違うもん!いっちゃんバケモノなんかじゃないもん!なんでそんなイジワルなこと言うの……う、う、うわぁ~ん」 「バケモノ」呼ばわりされたいつかがその場で泣き始めると、一人の男子児童が、 「ほら!そろそろ始まるぞー!」と意味不明なことを言った。 (そろそろ始まる?) すると、恐怖や緊張がピークに達したのだろうか?大泣きしていたはずのいつかは何時(いつ)しか泣くのを止め、その表情からは感情というものが全く感じられなくなってしまった。 まるで「無」という言葉が相応しいくらいに・・・。 どのくらいの時間が経ったのだろう? 長いようで短いような・・・短いようで長いような、そんな時間が過ぎていく。 たぶん、ほんの数十秒に過ぎなかったと思う。 時間の経過と共に身体(からだ)の左半分が変化していくいつかに驚き、ただ愕然と見ていることしかできない私。 その変わり果てた妹の姿・・・。 左右のバランスを上手く取れないのか、動くことも(まま)ならない妹のいつかは声も発っせられず、ただただ涙を流すだけ。 そんないつかに、男子児童たちは更に追い討ちを掛けるかのように、 「バケモノ出たー!逃げろー!」と、笑いながら去って行くのだった。
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