第5章 真実を知り・・・「そして私は叫んだ」

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拝啓 初冬の候 (たちばな)教授ご夫妻におかれましては益々ご清栄の事と心よりお慶び申し上げます。 さて、大変恐縮ではございますが堅苦しい挨拶はこのくらいにして本題に移らせていただきます。 実は一花(いちか)さんより、いつかさんの覚醒した姿を見たとの相談を受けました。 このまま隠し通すことは困難と判断した私は、貴殿方(橘教授ご夫妻)の行為、そして写真を見せることに致しました。 しかしながら、いくら長女と言えど彼女はまだ小学4年生の女の子です。 貴殿方(橘教授ご夫妻)の事を話せば、恐らく自我が崩壊し、泣き叫び、そして狂乱するのではないかと思っていましたが・・・どうやらそれは間違っていたようです。 彼女は冷静に事の顛末を受け入れると、ハッキリした口調で私にこう(おっしゃ)ったのです。 「私もいつの日か覚醒するのかしら?」と。 何も言葉を掛けてあげられない自分が情けなく思ってしまうのと同時に、正直申し上げますと心の奥底では密かに喜んでしまっている自分が存在している事に気付いてしまったのも事実であります。 最後に。 もしも、あの()たちに何かしらの変化、並びに異変が見受けられる様であれば、その都度報告させていただきます。 敬具 平成十七年二月十二日 千樹
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