組合の動き

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組合の動き

 重傷を負った四人は、コルビー組合の冒険者だとわかった。 半年ほど前に組んだばかりだが、順調に探索を積み重ねてきた。 もう五階層から下にも降りられるだろうと言われている、評判もいい四人組だった。 慣れているはずの三階層で全員が一瞬で襲われ、敵の正体はわからないと話している。 わかっているのは音や匂いがせず、誰も殺気を感じなかったことだ。 妖魔や妖獣の悪気には独特の淀んだ臭気がある。 唸り声や殺気、空気の震えのようなものが全くないことも考えられない。 相当に強い妖魔なら気配を消す術を使うものもいるが、これまで三階層に出現したことはなかった。  ルーウェンはあの後、組合長のイベロンと案内人を集めて話し合った。 イベロン組合長は、テダム洞窟への探索を行っている自らの組合と、メルキュール組合、ウルフリック組合、ヌフエ組合、コルビー組合に合同での調査を呼びかけた。 イベロン組合では当分は他の探索を一旦中止し、組合から報酬を出し、このことに専念することになった。 メルキュール組合は快く、怪我人の出たコルビー組合は是非にと調査を承諾してくれた。 ウルフリック組合からは、他の組合は一緒だと足手まといだと一蹴された。 ヌフエ組合は、独自の調査隊を組むつもりだとやはり断られた。  その話を聞いて、やはりソーレシアはふくれっ面になった。 「強くてえらい組合かもしれないけどさー。誰もが被害に遭う可能性はあるんだよね!何かあってからじゃ遅いんだよ。態度のわるいとこって、何かやましいこととかあるんじゃないのージーンちゃん?」 ソーレシアの声はまだ少しざらついていて迫力がある。 「決めつけるなって。疑わしい所が犯人とは全く限らねぇんだよな、今までの経験から言って」 「ジーンちゃんの経験から言えばどんなのが怪しいの?」 ソーレシアは口を尖らせたまま聞いた。 「多分四人を相手取っても戦えて、怪しくないやつだな」 「例えば?」 「レナス、ルーウェン先生、俺」 「それはないよね。命を助けた側だよ。それにレナスちゃんは目が見えなかったよ」 「それはできない理由にはならないな。レナスが戦えないとは思えない。一人で中階層まで下りられて、気配をさせずに移動できる。あれは魔術かな?俺もそうだが他の組合からは疑われてもおかしくないぞ?」  「何が起こってるんだろうね〜」 「わからないから組合全体でことに当たってほしいと思ってる。俺らここに来たばかりだろう?知らないことばかりだ。それぞれの組合に確執は無いか。洞窟に知られていない妖魔はいないか。調べなきゃならないことはいくらでもあるな」 「ウルフリック組合とヌフエ組合、怪しくない?」 「わざわざ疑われそうなことを言ったりしたりする必要があるか?」 「うーん。おなかすいたー。ラッテンおばさんとこ行こうジーンちゃん」 昼はとっくに過ぎていた。 ソーレシアは空腹で思考停止したらしい。 「そうしよう」
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