魔王の仕事

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魔王の仕事

「分からない。さっぱり分からない」 勇者は恐怖で顔が強張っている。       例えるならば、       人間界の間で流行っているスマホのゲームを       飽きもせず何年もやってしまった結果、       他のプレーヤーがどんどんやめていった時の       心細さ、       つまりそれと同じだ。       運営のイベントや、       ボーナスゲームでもらえるレアアイテムも       最早無価値になった時の喪失感。       ログインしない間に記録が抜かれていたら、       と言う焦燥感から       毎日ログインボーナスだけもらいに行く虚無感。       お前には・・・・・ 分からんだろうなぁ!!! 轟音とともにまた雷が近くで落ちた。地面がグラグラと大きく揺れ、大粒の雨が降り出した。        魔界の門は現在締め切られている。        開け閉めは私の役目だ。        数年前にうっかり開けっ放しにしてしまい、        地球の三分の二の人間が門から出た魔物に        喰われてしまった。        人は相変わらず弱く、怠惰だ。        手下の魔物たちの突き上げと        弱い人間の間に立って        魔界の門の開け閉めを調整するのだ! 「何だって!」 「それじゃあお前は、」 「まるで「人間界と魔界の中間管理職」じゃないか!」        クックック・・・ 分かってきたようだな。
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