0人が本棚に入れています
本棚に追加
底冷えの激しい京都の街は、外に出るだけで身体が凍てつき電車の中の程よい温もりが名残惜しくなる。
12月の浮ついた空気の木屋町をポケットに手を突っ込みながら約束の相手の場所へとぼくは向かっった。
とあるビルの一角で、約束の相手は寒そうに身を縮こまらせていた。
『おまたせ。遅くなってごめん 』
そう言って早歩きで僕は彼女一
香織の所へ向かった。香織は少し不機嫌さを顔に出しながら
『今日は20分遅刻。風邪引いたらあんたのせいよ 』
『 風邪ひいたら毎日看病しに逢いに行くよ』
『家に来れるわけないのにいつも口だけなんだから 』
毎日遅刻してしまう僕はこのやり取りが最近の最初の日課になっていた。
香織は長めの茶色のコートにロングスカート。
ヒールが高めのブーツが彼女の大人っぽさを強調していた。30代を少し過ぎているにも関わらず相変わらず20代ぐらいの若さを保っているのは相変わらず尊敬してしまう。
ヨレヨレのコートに穴が空いているスニーカーの僕は木屋町ですら浮いた存在なのに、彼女の横にたつと余計に目立つ存在になってしまった。
そんな僕に最初は色々茶々を入れてきた彼女も今では慣れっこだった。
最初のコメントを投稿しよう!