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顔をあげると、40を少し回った痩せて背の高い男の人が競馬新聞を広げながら私の前の席に座ってきた。
この人は職場の品質管理担当の田中さん。40すぎて独身で趣味は競馬。
いかにもな独身貴族おじさんだった。
『相変わらずですね 』
と半ば呆れながら私はため息をついた。
『これしかやることないからね。
唯一の楽しみだよ。 』
苦笑いを浮かべながら田中さんは目尻に深いシワが刻まれていた。私とはふた周りぐらい違うことを実感させられるこのシワが私のお気に入りだった。
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