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「もし明が『バケモノだ』って言ったら私の勝ちで、明は私の言うことを聞く。言わなかったら明の勝ちで、私は明の言うことをなんでも聞くわ。」
千郁はスモークチーズをソファーの前のテーブルに運びながらそういうと
「オッケー!それ、乗った!」
勝負事の好きな明は千郁の提案に二つ返事で了承した。
「でも、どうやって確かめるんだ?」
千郁は優しく微笑むと、明の隣にそっと座りその手を握って言った。
「それは……こうするのよ!」
すると、先程まで優しく微笑んでいた千郁の口はみるみる耳元まで割け上がり、真っ赤なクレバスからはだらしなく唾液が滴り落ちた。大きく開けたその口の中には人間のものとは思えない鋭利な牙が歪に並んでいる。
先程まで千郁だったそれは目元をいやらしく緩ませて、男にこう聞いた。
「私は……だあれ?」
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