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幸せと別れ
「ねぇ、優護! 次はあっちに行こーよ」
「ん、いいよ」
「見て、これ楽しそう! やろ~よ~」
「うん、楽しそうだな」
「優護、見て! これ、可愛くない? ふふん、似合ってるでしょー」
「うん、すっげー似合ってる。その、か、可愛い・・・と思う、よ」
「優護、ひどいよ・・・。それぐらい、私に相談してくれてもいいじゃない!」
「ごめん、神那。ごめん・・・」
「ごめんね、優護。私のせいだよね・・・!」
「ううん、全然いいよ」
優護との、数々の思い出。全部、忘れたハズだったのにね。なんで、今頃思い出すのだろうな。
優護とは、元カレのことだ。シーツの下に隠されてあった写真に写っていた優護。
・・・私はまだ、優護のことが好きなのだろうか。
いや、そんなの駄目だよ。優護には、幸せになってもらいたいもの。私が以上、関わっていいことじゃない。忘れろ、神那! また、全部忘れるんだ!
「ーー分かってるよ、忘れることなんて出来っこないってことくらい。だって今までも、忘れたことなんて一回もなかったから。忘れたフリをしていただけじゃない」
私は今も、優護のことが好きで、好きで好きで堪らなくて、出来るならまた会いたい。そう、心の中ではずっと思ってきたんだ。
でも、どれだけそれを願っても叶わないし、叶ったとしても拒絶されるだけ。それなら、会わない方がいいんじゃないの、自分でもそう思う。けど、私の心はそんなことを許してくれるようなヤツじゃないんだ・・・。
ーーーーー
私はあなたのことが、ずっと好きなんだよ。
フラれて別れても、ずっとずっと忘れられない。
あなたは、私にとってそんな存在なんだよ。
いまさら、私の前からいなくならないでよ。
私の傍で、ずっと笑っていてよ。
他の人のところになんて行かないでよ。
昔みたいに、私を幸せで包み込んでよ。
ねぇ、もう会えないの?
ねぇ、もうメールも電話も出来ないの?
ねぇ、もう一緒に眠れないの?
ねぇ、もう名前呼んでくれないの?
ねぇ、もう抱きしめてくれないの?
ねぇ、もう私の振り向いてくれることはないの?
ねぇ、もう一度だけ、私を愛してよ。
ねぇ、私は君のことがこんなに好きなんだよ。
お願い、一度で良いから「好き」って言って・・・。
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