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いつも笑ってていた。
笑美子おばさん。
本当に、名前通りの人だった。
笑顔しか思い出せない。
まだ58才と言う若さでこの世を去った。
家族は皆泣いていた。
ふと、気がついた。
婆ちゃんの姿がない。
通夜の時は、老人だから疲れるから遠慮したのかと思った。
葬式にいないのはおかしい。
婆ちゃんが具合悪いのかと心配になった。
爺さんが亡くなってから、ずっと一緒に暮らしていて子供の頃よく面倒を見てもらっていた。
だけど今は、俺は就職して家を出たから詳しいことはわからない。
葬式が終わって食事の会になった時に、親父に聞いた。
「親父、婆ちゃんは?具合悪いの?」
「待ってろ、今、言うから。」
そう言って立ち上がった。
「誠に自分勝手な考えで申し訳ありません。
母は、ショートスティに預けてます。
笑美子は、母がとても愛情注いだ娘です。
85才で心臓も悪い母親に笑美子の死を伝える勇気は、私にはありませんでした。
どうぞお許し下さい。」
父が深々と頭を下げた。
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