第一章 トイレの霊

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「聞いてんのか?」  三橋の声に、陽菜たちを見たまま、 「聞きたくはないけど、耳に入ってる」 と答える。  三橋よ。  私があっちを見てるのに気づいて、視線を追ってみたりはしないのか。  男ってのは、結構、周りが見えてないというか。  いや、こいつがか? と思う。  自分が話したいことがあるときには、周りにまで注意を払わないのだろうかな。  まあ、いい、と七月は思った。  陽菜の今の醜悪な顔を三橋に見せたくはなかったからだ。  自分だったら、嫌だな、と思うから。
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