第一章 トイレの霊

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「いや、あの人、後からよく考えたら、かなりの男前だったなと思ってさ!」 「死んでるけどね、たぶん……。  千二百年くらい前に」 という呟きをかき消す勢いで、 「誰が男前なの?」 と、すぐそういう話に入ってくる沙智(さち)時子(ときこ)が湧いてきた。  盛り上がる三人に水をさすように七月は言う。 「いや~、あんたたちの好みがわかんないわ~。  いつも騒いでる人たちと全然タイプ違わない?」  弥生が、はあ!? という顔で振り向く。 「いいじゃないのよ。  飢えてんのよっ、目の保養になるいい男にっ。  なによ、あんた、自分は学園一の男前を持ってっといてっ!」  声がでかいわ、この莫迦たれがっ。 と弥生の口を塞ごうとしたが、遅かった。
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