第一章 トイレの霊

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 三村が七月の視線を追うように、こちらを見たが、やはり、そのまま行ってしまった。  どうやら彼らの居る空間と、自分の居る空間には(へだ)たりが出来てしまっているらしい。  戻るべきか。  このまま、今、繋がりつつある夜の職員室に行くべきか。  現実の世界も、あちらの世界も気になる。  七月たちは今にも騒動を起こしそうだし――。  まあ、考えたところで、自分でどうにか出来るものでもないか。  そんな迷いがあったせいか。  いつまでも、ふわふわとした世界に身体ごと漂い、どちらにも抜け出せなかった。  
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