血と黙

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 スナックでの騒ぎは、ママさんと飯塚の尽力で喧嘩両成敗に終わった。海千山千のママは笑って許してくれたが、飯塚はそうはいかなかった。駐在所から引き取られる車の中、飯塚はこう言って指を突き付けた。 「そうやって人を傷つけて楽しいのか?それがお前のやりたい事か?お前には夢はないのか?」 「人を殴るのは男の本能だろ。どうしようもねえ」 「お前は動物じゃない。人間だ。人間には言葉っていうもんがある。どうして話し合って解決しようとは思わないんだ」  三池は押し黙る。自分にとっての会話は暴力だった。痛みで相手を知り、痛みを与えて相手に自分を知らしめる。これまでも、これからも。変われるはずも無かった。 「もし、次に同じような暴力沙汰を起こしたら問答無用でお前との縁を切る。冗談じゃないからな」  飯塚はそう宣言した。ヤクザが言う破門のようだなと、三池は何故だか面白くなってそう思った。
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