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そんな自他共に認める占い好きのゆには、まだ兆しとは言え、短期間でいくつもの未来を予言し、的中してきた麻美を、本心から凄いと思っているのだ。
「へへへ…今ね…占いの勉強してるんだ」
ゆにの反応を見るように、麻美はゆっくりと告げた。
「え?もう、誰かを占ったりした?」
そう聞いたゆには、忽ち顔を輝かせた。
「まだ、勉強してる最中だから、誰も占ってないよ」
「まだ、誰も?…」
ゆにはそこで言葉を止めると、輝かせた目で、麻美の瞳を見詰めた。
「一番最初に占って欲しいんでしょ?」
麻美は優しげな眼差しを浮かべ、問い掛けた。
「え?どうして分かったの?それも占いの力?」
厚かましいかもしれないと、口に出さなかった願いを言われ、ゆには本心からそう思っている様子だ。
「そうだよ。ゆにがそう言うであろう事を、既に予言していたんだよ」
麻美はそう言うと、いたずらっぽく笑った。
麻美のこの言葉は、ジョークである。ゆにの口から幾度か聞いた、占い師の初めての客になってみたいという言葉を、ただ当て嵌めただけなのだ。しかし、占い好きからも分かるように、ゆには人の言葉を、あまり疑わない性格をしている。
「凄いよ麻美。もう、立派な占い師だよ」
麻美のジョークを、微塵も疑わなかったゆには、更に顔を輝かせた。
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