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「へへへ…わたしは違う事も、既に予言してるんだよ」
凄いと言われ気分を良くした麻美は、またしてもいたずらっぽく笑った。
麻美がこの笑顔を浮かべる時は、人を騙す時である。しかし騙すと言っても、悪意のある嘘は今まで吐いた事はない。彼女は単に、コミニケーションの一部として、悪意のない嘘を吐いてきたのだ。
「え?違う予言?なになに?」
根っから信じやすいゆには、またしても麻美の言葉を信じている様子だ。
「これだよ、これ」
待ってましたと言わんばかりに、麻美は右手に持っているスマホを、印籠のように突き出した。
「…尾行倶楽部?」
こちらを向いている麻美のスマホの画面に映し出されている文字を、ゆには口にした。
「そう、尾行倶楽部だよ」
そう言った麻美の目が、キラキラと輝き出した。
麻美はこの尾行倶楽部の話をしたくて、ゆにの元に来たのだ。誰よりも先に、ブームになりそうなものを見付ける事に喜びを感じる麻美は、誰よりも先に、そのブームになるものを、友に告げたいのだ。自分しか知らなかったものが、メジャーになっていく。その優越感に浸りたいのかもしれない。
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