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「…なんか変だよ、今日のゆに」
何も言わずに、自分を恐れるような顔をして見詰めるゆにを、麻美は心配そうな瞳で見詰め返す。
「…大丈夫?具合い悪いの?」
何時までも何も言わないゆにを、麻美は心配している様子だ。
「…ううん、大丈夫。ごめんね」
気のせいだ。はっきりと悪魔のような声に聞こえた訳ではない。最近、夜更かしばかりして、慢性的な寝不足で、疲れが溜まっているのかもしれない。
ゆにはそう思い、耳に残るような気がする悪魔の幻聴を振り払うように、頭を軽く振った。
「本当に大丈夫?顔色悪かったよ」
そう言った麻美は、泣きそうな顔で自分を見詰めている。
胸が痛かった。こんなにも自分を心配してくれる親友を、気のせいだとは言え、怖いものだと思ってしまった。
こんな事では、大切な親友を失ってしまうかもしれない。
「…ごめんね。大丈夫だよ。考え事してた…本当にごめんね」
麻美にはゆいが謝っている理由は分からないだろう。しかしゆには、一瞬でも親友の事を疑った事を謝りたかったのだ。
「考え事?体は大丈夫なんだよね?」
未だ自分を心配してくれる親友を前に、ゆにの瞳から涙が溢れそうになった。
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