39人が本棚に入れています
本棚に追加
「…ありがとう、本当に大丈夫だよ」
涙を飲み込み、ゆには笑顔を作った。
溢れそうになる涙を流したら、麻美はまた心配してしまうだろう。一ヶ月と過ごした期間は短いが、麻美の優しさは、誰よりも分かっているつもりだ。だから、直ぐに麻美と親友になれたのだ。
「…大丈夫なら良かった」
親友の言葉を信じた麻美は、心底安心したような表情を浮かべた。
「何かあったの?」
クラスメートの村上優里杏が話し掛けてきた。
「ん?…なんでもないよ」
別に隠す訳ではないが、どう説明していいか分からなかったゆには、当惑しながらそう答えた。
「…怪しいな」
優里杏は二人の顔を見ながら、笑顔を浮かべた。
話題を変えなければ。ゆにはそう思い、未だ安堵の表情を浮かべている麻美に言葉を掛けた。
「麻美は、家で勉強とかしてる?」
何も考えずに咄嗟に出た言葉がそれだった。
「麻美が勉強なんかする訳ないじゃん。ブームになるものを見付けるのに、毎日ネットサーフィンしてるんだから」
麻美とは中学からの友人である優里杏が、変わりに答えた。
「わたしだって、勉強ぐらいするけどさ…それより、優里杏にも教えちゃおうかな」
図星を指された麻美は、口を尖らせた後、笑顔を浮かべた。
最初のコメントを投稿しよう!