ブーム

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「…ありがとう、本当に大丈夫だよ」  涙を飲み込み、ゆには笑顔を作った。  溢れそうになる涙を流したら、麻美はまた心配してしまうだろう。一ヶ月と過ごした期間は短いが、麻美の優しさは、誰よりも分かっているつもりだ。だから、直ぐに麻美と親友になれたのだ。 「…大丈夫なら良かった」  親友の言葉を信じた麻美は、心底安心したような表情を浮かべた。   「何かあったの?」  クラスメートの村上優里杏が話し掛けてきた。 「ん?…なんでもないよ」  別に隠す訳ではないが、どう説明していいか分からなかったゆには、当惑しながらそう答えた。 「…怪しいな」  優里杏は二人の顔を見ながら、笑顔を浮かべた。  話題を変えなければ。ゆにはそう思い、未だ安堵の表情を浮かべている麻美に言葉を掛けた。 「麻美は、家で勉強とかしてる?」  何も考えずに咄嗟に出た言葉がそれだった。 「麻美が勉強なんかする訳ないじゃん。ブームになるものを見付けるのに、毎日ネットサーフィンしてるんだから」  麻美とは中学からの友人である優里杏が、変わりに答えた。 「わたしだって、勉強ぐらいするけどさ…それより、優里杏にも教えちゃおうかな」  図星を指された麻美は、口を尖らせた後、笑顔を浮かべた。
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