0人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
遠くからいくつものサイレンの音が重なる。
それがドンドンと近付いてきて、耳を揺らす。
視線は定まらず、回転するばかりだ。
まるで頭から下が存在しないように、身体の感覚がない。
時折視界に自分の手足が入るのだから、どこも失ってはいないとわかる。
不意に熱い手で捕まえられた。
腕、肩にグッと力を入れて支えられ、上半身を起こされる。
どうやら倒れ込む寸前だったようだ。
最初のコメントを投稿しよう!