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元々、別世界を生きてる様な彼と張り合う気は毛頭なく
だいたい、彼と戦ったって勝ち目はない。
彼の幼なじみの彼女は至って普通の子だった。それまではそう思っていた。
一人の時間を邪魔されたくない俺が、不思議と彼女を受け入れ、気づけば彼女との時間を楽しみにしていた。
そして、彼女も、すぐ飽きると思っていた図書室に毎日のようにやって来た。
なぜ、毎日来るのだろう。
彼女は少しづつ俺と距離を詰めてくる。
詰めてくるのではない……か。勝手に入ってくる。俺の中に。そんな表現が正しい。
彼女は、図書室から出ても俺を見つけると、手を振ってくれる様になった。
やがて、本を読んでいても
……楽しみにしてた、本なのに彼女が前にいると、全然頭に入ってこない。
俺は無意識に、彼女が勝手に入ってくるのをドアを開け放って待っていた。
それは図書室のドアじゃなくて、俺の、心のドア……だ。
いつの間にか、彼女は俺にとって“普通”じゃなくなった。
……大友君とは……どうなんだろう。
二人の関係が気になりだした。
放っておいても、彼の噂が耳に入ってくるのは幸いだった。彼は別にカノジョがいた。
それにホッとしたということは……
俺はもう、彼女の事を好きだったのだと思う。
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