対角

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「あ、ごめん」 本越しに、意識していた彼女のくるくる変わる表情につい笑ってしまった。 「その本、面白いの?」 「やだなぁ、今まで一人だったから、こうやって笑ってしまっても誰も気にしなかったのに……」 ……本って便利だな。顔が緩んでも本のせいに出来るし……間も持つし、会話も無理にしなくてもいい。 「次、その本貸してね」 「まだまだ、かかる」 「いいよ、別に。明日も明後日も来るから」 ……何で、来るんだろう。 彼女は俺しかいない図書室(ここ)になぜ来るのだろう……。 「何?」 「……別に」 「邪魔するなよって、言いたいの?」 拗ねるような彼女の顔に……僅かな期待が胸に過る。 だけど、彼女は……彼の幼なじみだ。
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