風が鳴く

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 部屋が綺麗になった頃、やっとソファに座って麦茶を出す。氷のぶつかる音が一層涼しげだった。麻理は俺の方に寄りかかり、満足そうに綺麗になった部屋を眺めて微笑む。 「ありがとう、綺麗にしてくれて」 「ほんとだよー、綺麗にしないと女の子連れ込めないよ?」 「連れ込まないし、それ麻理が言う?」 「ふふ」  そうでした、と笑う麻理はなんだか嬉しそうだった。その笑顔がなんとも愛おしい。その細い体が、ここからいなくなくなってしわまぬよう、力一杯抱きしめらる。 「こんな夏で暑いのに、今日はくっつくね」 「……いいじゃん、たまには」 「どうしたの?なにかあった?」 「なにも」  そういうと、麻理の細い首筋に唇を落とす。ひんやりとした肌がピクリと跳ねた。細くて、か弱い首に何度もキスをする。たまに食んでみたり、頬をすってみたりした。いくら強く抱きしめても、まだ足りない。久しぶりの麻理を、堪能するように抱きしめる。 「麻理……」 「ん〜?」 「会いたかった……」 「……私も会いたかったよ」
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