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ランバードは長官と、久し振りに再会した部隊の仲間達と一緒に屋外へと出た。
奴隷として捕まえた生命体は、街から離れた森の中に寝かせてある。
コニ星に帰る宇宙船の中にいた頃から、生命体の身体に害の無い麻酔で眠らせていた。
それは初めての宇宙の長旅に、体力を消耗させない為の適切な手段だった。
「もちろん、檻に閉じ込めてあるのだろうな?」
と長官に聞かれたが、答えは否である。
理由としては、その生命体が見た目によらず温厚な性質である事と、圧倒的に動きが遅い為、類まれな身体能力を持つ我々の敵ではないからだと、ランバードは説明した。
それなら最初から、宇宙特別部隊事務所に連れてくれば良かったではないかと、他の隊員の意見も出たのだが、なんせ身体が大きいのだ。
初めて見る者は腰を抜かしてしまうかもしれない。
それゆえ国民の目に付きにくい森の中に隠し、幾多の修羅場を潜り抜けてきた宇宙特別部隊員と、そのトップである長官のみの同行としたのである。
コニ星の気候は常春で湿度も低い。
一年中美しい花が咲き、何もしなくともそこいらじゅうに木の実や果物がなっている。
各技術力の高い彼らは、居住区はもちろん、国家機関、研究機関、医療機関、警察機関、また宇宙特別部隊をはじめとした宇宙活動機関など、全て一か所にまとめ、その他の土地は緑溢れる自然を守る為、特例がない限りあえてほっぽらかしにしている。
ランバード一行は生命体が眠る森を目指し、花や草の匂いを密かに楽しみながら歩を進めていった。
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