33人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでは、奴を起こします」
ランバードの一言に緊張が走る。
ランバードは麻酔でよく眠っている、長官曰くバケモノに迷う事なく近づいた。
長官と隊員達は、自分達よりずっと大きなバケモノに腰が引けて、少し離れた場所から見守っている。
「おーい、ランバード! 本当に大丈夫かー? 応援部隊を呼ぼうかー?」
オロオロする長官に一礼し、「必要ありません」とだけ告げると、ランバードは、いきなり大声を張り上げた。
「いつまで寝ている! さっさと起きろ!」
バケモノはその怒声に小さく呻くものの、まだスヤスヤと眠っている。
「まったくオマエは毎回毎回! とっとと起きて長官達にご挨拶しないか!」
ランバードは更に怒鳴ると、彼の10倍はあろう巨大バケモノの顔に、思いっきりパンチを入れた。
ヒィィッ!!!
叫んだのは、その様子を見ていた長官達だった。
そんな事をして大丈夫なのか?
暴れだしたりしないのか?
そう言いたげに口をパクパクさせているのだが、ランバードの蛮行は容赦なく続く。
「早く起きろ! このウスノロめ! グズグズするな!」
ワザと耳元で大声を出し、頭部を容赦なく殴りつけるというバイオレンス。
それでも中々目を覚まさない事に怒ったランバードは、あろうことかバケモノの顔を両手で押さえつけ、その鼻先を何度も足で蹴った。
長官達は青ざめていた。
いくらなんでもやりすぎだ。
あんなに大きなバケモノが暴れだしたら手に負えない。
ランバードは仕事熱心で、優しく真面目な青年だったはず。
それがあんなにも乱暴者になってしまった。
異星での潜入任務が彼を変えてしまったのだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!