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おはなししようよ
「あれ?なんだろう?」
ぼくは学校からの帰り道にある広い草むらの中でキラリと光るものを見つけた。
「よいしょ。よいしょ」
ふくらはぎにチクチクと刺さるほど伸びている雑草を踏んづけて進んでいく。
「この辺かな?」
気になると納得するまで確かめたくなるぼくは、一瞬の記憶を頼りにキラリと光ったものを探した。
伸び放題の雑草をかき分けて探していたとき、ふと顔を上げるとまた、キラリ と光るものが見えた。
ぼくは光ったところに向かって一目散に駆け出した。
お母さんには転ぶから気をつけてとよく言われてしまうけれど、そんな小さなことはどうでもいいといつも聞いていない。
それよりもなにがあるんだろう?ぼくはわくわくしながら急いで向かった。
何が光っていたのかはすぐにわかった。
長い雑草に持ち上げられるように、1枚の写真があった。
「写真だ。なんの写真だろう?」
ぼくの興味は尽きない。
すぐに手にとって見てみると、夜の家の中のような真っ暗な部屋が写っていた。
「う〜ん。お部屋の写真かな?真っ暗でよく見えないや」
この写真に光が反射してキラリとしたのはわかった。
ぼくはなんで光っていたのかがわかって満足した反面、ただの写真かーと思ってがっかりもした。
あんまり寄り道するとお母さんに、遅くまでどこに行っていたの!と怒られてしまうのでぼくはこのまま帰ることにした。
写真を元にあったようにしっかりと戻して帰ろうとすると、
『わあ!待って待って!』
と声がした。
ぼくは驚いて振り返ったけど誰もいなかった。
ここは草むらの真ん中くらいで、他に誰もいないと思っていたから本当にびっくりした。
遠くから野球のボールをカキーン!と打つ音が微かに聞こえるけど、近くに人は誰もいなかった。
気のせいかなと思って、また帰ろうとすると
『ここだよー!ここ!』
とまた声がする。
ぼくは振り返って「誰かいるんですか?」と大声で叫んだ。すると
『大きな声だね〜。元気いっぱいだ!僕とお友達になれそう!』
と『写真』から声がした。
「え!?」
ぼくはまたびっくりした。
「写真が喋ってる!?」
『そうだよ!退屈だったんだ〜。ねえ。僕とおはなししようよ』
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