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小説家をしている伊門冬は炬燵に入り原稿用紙とにらめっこしていた。
伊門の家でお手伝いとして雇われてる成田紅が無言でコーヒーを入れる。
今日も外が晴れているが部屋の中の空気は重くなりつつなっていた。
その時、家のインターホンが鳴る。
冷静に成田が玄関に向かう。
玄関から帰ってきた成田の後ろについてきたのは出版社の木田だった。
木田は「おはようございます!先生進んでますか?」と少し大きな声で聞くが、伊門はいつものようにスルーする。
木田は首をすくめてリアクションをしていつもの事かと思い成田と目を合わせる。
木田はでかい図体でソファーに座り、成田が入れてくれたコーヒーをすすった後に成田に「先生どうですか?」と小声で聞くと「多分調子よく進んでいると思いますよ。」と答えると木田は頷きながら笑顔でコーヒーをすすった。
そして、またしても家のインターホンが鳴る。
また、成田が冷静に玄関に向かった。
木田は嫌な予感がしたのか少し咳払いをした。
成田と一緒にリビングに来たのは、長身で顔が長い刑事の金村光だった。
金村が来たとき出版社の木田は聞こえるよう舌打ちをする。
金村はその音と図体に気づき「お!でかいのも来てたか?舌打ちもでかいな!」とでかい声で言う。
部屋の中は一気に騒がしくなった。
木田は「わざとやってるんだよ!」と指を指す。
「顔長刑事さんは今日は何しに来たのですか?」と嫌味たらしく聞くと「顔長刑事だと?」と言って鏡を見ると「ほんまにな!でかいの観察力あるな。刑事に向いてるよ!でも、そのでかさはな。」と笑いながらディスると木田は歯をガタガタ震わせていたが刑事の金村はそれを無視して小説を執筆中の伊門冬に「伊門!手伝ってくれないか?事件なんだけど。」と言う。
伊門冬のもうひとつの顔が警察に推理を提供して解決をするのを手伝っていた。
伊門の推理は現場に行かないで話だけで推理するもので、しかも、妄想しながら推理するので妄想推理と言われていた。
当たるときと当たらないときが激しかった。
それを聞いた出版社の木田が伊門が答える前に「何を言ってるのか!先生は今、執筆中である。忙しいんだよ!アンタニ構ってる暇はないよ。」と太い指で金村を指して言う。
金村はそれを無視して「内容だけでも聞いてくれないか?」と言うと伊門がやっと口を開き「一話完成したから話だけでも聞くかな。」とゆっくりと口調で答えると木田がでかい図体で伊門に近づき「一話完成ですか?」と言って原稿を確認して「ありがとうごさいます!さっそく、私が持って行きますね。」と言って帰る準備をして「それでは!」と言って帰っていった。
慌てて成田も玄関に向い見送りに行った。
刑事の金村は「やっと邪魔がいなくなったよ!じゃあ、話すよ!」と言って事件の内容を話し始めた!
事件内容‼️
仲村静(53)の一人娘で仲村花(24)IT企業勤務が実家の自分の部屋で首を吊ってそれを帰ってきた母親に発見された。
警察が来たときには、もう息をしてなくて亡くなっていた。
花はその日日曜日で休みなのでのんびりしていていつもの花だったと言う。
その姿を見て母親も友達と会食に出掛けた。
帰って来たのは、それから5時間ぐらいたった夕方だった。
声を掛けても返事がないのに変だと思い部屋に入ると首を吊っていたと言う。
母親は警察に「娘は自殺をするような子でないし、なんか悩んでる様子でもなかった。誰かに殺されたんだ」と言っていた。
警察も自殺との事なので司法解剖を頼んだらなんと、首を吊る前に花は誰かに首を絞められていてそのあとに吊るされた可能性が出たのだ!
なので、刑事の金村が動いていて事件が難航しそうなので伊門に相談に来たのだった!
金村達は、近隣の目撃情報がないために犯人は母親と睨んでいたが母親にはアリバイがあったのでそれを崩すのに苦労していた。
事件の内容を話し終えると金村が「まぁ、一応殺人と決まったから調べないわけには行かないよのよ!だからさ、協力してくれないかな?何か複雑すぎて頭が痛くなるよ!あと、何より目撃情報とか物証とか少なすぎてね。」と困った口調で言うと。伊門が窓を見つめながら「その母親には誰か親しい人などいたか?」と聞くので金村は「ああ、いたよ。間宮広、電気メーカー勤務で友達だな。そいつは、その日は営業先で仕事、アリバイがあり、営業先にも確認してさらに防犯カメラもチェックしたよ。あとさ、花さんには保険金も掛けてなかったからその線もないな!」と言うと伊門は黙りこむ。
金村は「伊門!今回はさすがにお前も妄想推理できねえよな?」と言うと伊門が「花さんは仕事でどんなことを?」と聞くと「いや、何か経理課だったみたいだが!」と答えると「あのさ!間宮が行った営業先の防犯カメラ解析に回してみて何か出ると思うよ。」と言うと金村は「分かった!さっそくやるよ。」と言って出ていく。
伊門はコーヒーをすすってると成田が「チョコチップのクッキーありますよ。」と言って前に出した。
次の日、刑事の金村が伊門の家に来て「伊門、お前スゴいな!よく分かったな!お前が言った通り解析したらな、何とあの日営業先の防犯カメラに間宮が映ってなかったよ。あの防犯カメラを細工したんだとさ!だから、間宮があの日アリバイがないって事になったよ!営業先も認めたよ。これから引っ張るんだが、証拠が足りない。しかも、防犯カメラも間宮の会社のメーカーであいつが頼んだとか。」と言うと伊門が「母親がその日に行った会食にその営業先の奥さんも居たと思うんだけど、」と聞いてきたので刑事の金村はすぐに電話をして確認すると「確かに、来てたよ!よく分かったな。」と相変わらずのでかい声で言う。
伊門はコーヒーをすすって「ここからはオラノ妄想推理だが聞いてくれ!」と言い出し話し始める。
「まず、犯人は間宮広。母親を会食に誘い出して殺害する作戦だった。その営業先の人とその奥さんを利用した。花さんが殺害された理由は自分の会社の機密情報を欲しかったんだと思うよ。その機密情報を間宮の電器メーカー機械にいれて外国の会社に送ることをしていたんだとおもうよ。それを営業先のやつとグルニなってやってたんだよ。奥さん二人はただ利用されただけなんだな!それで、花さんはその情報を知らなかった。だが、間宮がやろうとしてる事を知ってしまったので殺害された。以上です。オラノ妄想推理だけど。」と言うと。
刑事の金村が「でもさ!その日間宮の目撃情報なかったのはなんでだ?」と聞くと伊門は「それは…調べれば。」となげやりに答えた。
金村は首をかしげながら「ありがとう!とりあえず行くわ。」と言って出て行く。
刑事の金村が現れたのは三日後ぐらいだった。
先に来ていた出版社の木田を見て「おう!久しぶりだな!」と言うと木田は「フン」と首を横に向く。
金村は無視して「伊門!助かったよ今回も!お前の推理。捕まった間宮と営業先の田宮は今、二課が追っていた事件の犯人で一課と二課が共同で余罪も調べてるよ。アイツラはさ、会社の機密情報を盗んでそれを電化製品に写しこんで外国の会社に売っていたんだよ。言った通りだったな!で、殺害したのも、ずっと家に忍びこんでいて母親が会食に出掛けたときに出てきて殺害したと。」と説明して木田の肩を叩くと木田はビックリして目を見開き金村を睨む。
咳払いををして「では、私はこれで。」といって帰っていった。
金村も帰って行った。
伊門冬はある人写真を見て「ウマイ。」と一言口にしてコーヒーもこぼしてしまった。
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