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夏生くんは目を見開いて驚き、一瞬で涙を止めた。
「願いって、そんなことでいいの?簡単すぎるよ。やっぱり無しって取り消すのは、禁止だからね」
分かってる。
きっと、簡単な道ではないことを。
これから、辛いことだってたくさんあるかもしれないけど、……それでも。
「誕生日おめでとう夏生くん。これからは、毎年言い続けられるね。……ずっと一緒にいよう」
目を細めて笑うと、夏生くんも同じ顔で笑う。
「また騒がしくなりそうだな」
ベッドの上で抱きしめ合う私たちに、陽の光が差し込む。
それは、とても暖かな春の光だった。
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