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毎日、放課後が待ち遠しかったけど、こんなに長く感じることはなかった。
夏生くんとは、放課後にしか会えないのに。
ため息をついて、机の上の英語の教科書に視線を落とす。
先生が喋ってるのは、今どの辺なのかな……。
指でパラパラとページをめくっていく。
「……」
一拍置いて、私は指を止めた。
あれ……?
会えるよね、普通に。
どうして、放課後だけだなんて決めつけていたんだろう。
行けばいいだけなんだ。
夏生くんは同じ学年で、クラスは2年7組だって分かってるんだし。
そうだ……。
夏生くんには、会える。
会いに行けるんだ。
そっか……。
すでに私は、完全に授業が耳に入っていなくて、教科書はにやけた口元を隠すだけのものになっていた。
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