会いたい理由

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なんだ、そっか……。 お礼を言うなら早く、って思っていたのに。 夏生くんとは連絡先も交換していないから、メッセージを送ることも出来ないし。 こればかりは仕方ない。 今日の放課後に会ったら、トークアプリのIDくらいは教えてもらおう。 ……いいよね、聞いても。 私は7組の前を離れ、自分のクラスである1組に戻ろうと、再び廊下を逆戻りした。 先ほどよりも、廊下に出てくる生徒が増えている。 3組の前に差し掛かった時。 「あ、小雪ちょうどよかった」 たまたま教室から出てきたばかりの、康太と鉢合わせた。 相変わらずポンコツの心臓はドキッと高鳴って、私は胸元のりぼんを手で押さえた。 「どうしたの?ちょうどよかったって?」 「ちょっといいか?」 「うん……」 ここではしづらい話の内容なのか、康太は廊下の窓際を指さした。
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