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ふたりの間に、ふわっと暖かな風が吹き抜けた。
そっか、また窓を開けていて……。
「……夏生くんのおかげなの。昨日、言ってくれたでしょ。私が、人を傷つけて平気でいるような子じゃないって。だから……」
包み込むような、暖かさ。
夏生くんは、春の風みたい。
「すごく……嬉しかったから。そう言ってくれた夏生くんに、こうやって胸張って会うためにって……思って。嫌な思いをしてた美琴を、少し……笑顔に出来たかもしれない」
なんか、すごく語ってるみたいで、恥ずかしい。
照れ隠しで、「へへ……」と笑って、赤い頬を見せないように手のひらで隠す。
「俺は、何もしてないよ」
「そ、そんなことないよ!夏生くんがいなかったら、私は今日もきっと暗いままだったの、絶対」
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