逆鱗

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生徒会活動を終え、今日は正門から校外へ。 ちょうど部活の最中ということもあり、生徒の姿もまばら。 予想どおりだ。 暫く歩くとその先に見覚えのある車がある。 ナンバーを確認すると私は速足でその車の助手席へとまわる。 ウィンドウをノックすれば運転席に座るママがすぐにロックを開けてくれた。 愛梨「おかえりなさい。」 梨乃「ママ、ただいま。ありがとう。」 ママはウィンカーを出すと後方を確認してすぐに車を出す。 愛梨「良かった。時間通りだったから。」 学校の周辺の路駐は近隣の人に良く思われていない。 本当ならもう少し遠くでピックアップしてもらおうと思っていたのだけど、今日はちょっと事情が事情。 さっき、また薬は飲んだものの、悪化すれば危険。 愛梨「それで……どうしたの?何かあったんじゃない?」 日頃から極力、パパやママには学校には来ないように言っている私がこうやっていきなり呼び出したものだからさすがにママも驚いているようだ。 梨乃「…うん。ちょっと……」 さて、どう話そうか。 家に着いてからでもいいのかもしれない。 だけど、家に帰ればパパがいる。 万が一、パパにアノことを知られればパパは黙ってはいないだろう。 ここはやはり今この場で話しておくのがいい。 愛梨「…ダンナ様のこと?…ふふっ……ケンカでもしちゃった?」 もしケンカだとしたら親になど頼らない。 だけど今回は特別だ。 こんなこと相談できるのはママ以外にいない。 梨乃「…ううん。ゆうちゃんとはうまくいってる。そうじゃなくて……あのね……」 運転中にアノ内容を話すのは危険かもしれない。 とりあえず、私はママに車をどこかに停めてもらうことにした。
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