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小笠原さんに指示されるがまま、私は車から降りる━━
ママと小笠原さんが話をしているのを気にしながら小笠原さんの乗っていた社用車へ向かっていると、突如、車の後方のドアが開いた。
梨乃「…っ……」
ドアによって隠れていたその全体像が露わになる。
そこにはスーツ姿の威圧感のある彼の姿。
その瞳が私を捉える。
一瞬にして背筋が凍るほどの瞳━━
それは身動きできなくなるほど。
そんな私の元へ彼が向かってくる。
祐「…乗って……」
読めないその表情が私の心を不安にさせる。
彼は私の背中に手を回すと車へと誘導。
そして、車の中へ押し込むと彼自身も乗り込んだ。
直後、小笠原さんが運転席へ。
祐「小笠原、行って。」
小笠原「承知しました。」
窓の外にはハンドルを切るママの姿。
ママは小笠原さんに頭を下げると何事もなかったかの如く去っていく。
一体これはどういうことだろうか。
こうして私は、よく分からないまま、彼に連れ去られてしまうのだった。
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