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車が次に止まったのは大泉総合病院。
隣町にある彼の会社が経営する病院。
この辺りではかなり有名。
医者もかなり良い人を揃えている。
しかし、リムジンで正面から入るとなると、何かと問題があるということで、今日は裏口から入ることに。
裏口は地下にあるようだ。
新しく整備された道を辿るようにして、車が地下へと入っていく―――…
静寂な地下に響く車の音は何とも言えない感じだ。
車が停められると彼が口を開いた。
祐「小笠原、ドクターに例のことを……」
小笠原「承知しました。…すぐ戻ってまいります。」
二人の中ではこれからの流れは全て出来上がっているらしい。
小笠原さんはスマホ片手に院内へ向かった。
小笠原さんの姿が見えなくなると、彼がようやく私に声を掛ける。
祐「…ねぇ、梨乃……どうして俺を頼らなかった?」
そこには失望にも似た表情をした彼の姿。
祐「約束していたよね?何かあったら絶対に俺に相談するって…」
それは以前にも言われたことではある。
だけど―――…
梨乃「…それは……」
それを言えば、彼はすぐにこうして病院に連れてくることは予想できた。
そして、もうひとつの予想━━━
私を大事にするあまり、男としての欲望をまた我慢させてしまう。
祐「…気になってたんだ。だから先輩に電話した。そしたらさ……」
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