逆鱗

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ゆうちゃんとともに院内へ入っていくとすぐに最上階へ。 この病院の最上階はいわゆるVIP。 そのフロアには特別な人しか入れないということもあり、厳重な警備体制。 フロアへ繋がる専用エレベーターから上がれば誰に会うこともない。 最善の配慮をしながら上っていけば、着いたところに年配のドクターが立っていた。 祐「申し訳ない。忙しい時に。」 おそらく私のために待機してくれていたのだろう。 こんなことの為に時間を取らせてしまったことが私も申し訳ない。 ドクター「とんでもございません。坊ちゃんのお役に立てるなんて光栄でございます。検査の準備も万全にしております。まずはこちらで診察を……」 そう言って、ドクターは私たちを案内をする。 祐「じゃぁ、行こうか。」 彼の手がそっと私の腰へと触れ、私をその方向へと促す。 このフロアは以前にも奏多がお世話になった時に来たことがある。 だけど、自分がここで診察を受けた記憶はない。 しかも今日は婦人科など――… と、その時、私は重要なことに気づいてしまった。 梨乃「…ぁ……」 突如、私の足が止まってしまう。 祐「…梨乃?」 婦人科の受診――…… それは女性の私にしてみればかなり敷居の高い科であるということ。 頭の中で一気に押し寄せてきた不安――…… そう、婦人科なのである。 梨乃「…ゆうちゃん……あの……」
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