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私が生まれる前━━━
二人が若かりし頃、ゆうちゃんとママは婚約していた。
二人は幼馴染で祖父同士で決めた許嫁だったと聞いている。
許嫁と言うと愛などないように感じるが、実は二人は相思相愛だった。
だけど、運命の悪戯により、二人は離れ離れになってしまった。
そして次に再会した時には……ママはゆうちゃんの親友だったパパと未来を歩き始めていた。
それでもママを愛していたゆうちゃんは諦めきれず、再度猛アタックをしたらしいのだが、その時既にママの心はパパにあったという。
結局、そのままママはパパと結婚。
ゆうちゃんも二人の仲を認め、今では良い関係を築いている。
そして、その二人の間に生まれた私――…
その私が、彼に惹かれた。
今に至るまでに私もそれなりに男の子からアプローチを受けた。
だけど、どんなに優しくて頭が良くてスポーツができて人気の男の子であっても、興味を持てなかった。
ふと過ぎるのは彼のことばかり。
彼以上の男性はいないのだ。
再会したのはつい最近――…
年齢を増すごとに円熟味を増す彼。
醸し出されるその男の色気が私の心臓を刺激する。
触れるその手が安心感を、そして熱を私に帯びさせる。
吸い込まれるように妖艶な瞳に、再度私が落ちることはたやすかった。
それほどに魅力的な彼が今では私の婚約者。
彼は……私を女性として見てくれているのだ。
親子ほどの年齢差であってもそこにはちゃんとした愛があるのだと証明したい。
私に反応してくれる彼に応えたくて昨夜は自分なりに頑張ったはずだった。
それなのに――…
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