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それから私は根本さんと様々な話をしながらMRIを取り終えた。
ドクターから仕事に行くよう帰されたゆうちゃんが来るのを待つ間、根本さんはラウンジで私の相手をしてくれていた。
様々な過去の話をしていくうちに私は自然と彼女に心を開いていた。
初めて知る彼の過去の出来事の数々――…
気づけば時間などあっという間に過ぎ去っていた。
そして、検査を始めて2時間半を超えた頃、私は診察室へ呼ばれた。
診察室へ入っていくと、ドクターが前のめりでMRIの結果を見ている。
あまりにその表情が真剣なものだから私は不安に駆られた。
何か異常があったのだろうか。
心拍数が増えていくのが自分でも感じられ、いてもたってもいられなくなる。
(…ゆうちゃん…っ……)
こんな時に彼がいたらどんなに安心だろう。
啖呵を切るように彼に我儘をいったことを少し後悔していた。
なんやかんや言っても私は若干17歳。
どんなに大人ぶってもこういう時に幼さが出る。
そんなことなどきっと彼はお見通しだった。
だからこそ、あんな風に私を心配してくれていたのというのに。
彼がいないことに不安が更に増す。
そして、全ての検査結果を見終えただろうドクターが私へと向き直った。
ドクター「藤沢梨乃さん、検査の結果ですが……」
ドクンドクンと心臓が激しく鼓動する。
もし、最悪な結果だったらどうすればいいのだろうという不安と恐怖。
(…こんなの……一人で受け止めきれないよ……)
と、その時―――……
…――バンッ…――……
勢いよく診察室のドアが開く音が聞こえた。
そして、足早にカツカツ音を立てその人が近づいてくる。
…――シャッ――……
背後にあったカーテンが音を立て豪快に揺れ動くとそこには彼がいた。
梨乃「…ゆうちゃんっ!?」
珍しく息が上がっているところを見ると走ってきたのだろうか。
見れば、その額にじんわり汗が見られる。
そんな彼を見ながら根本さんが笑った。
根本「あらあら、祐さん、院内は走ってはいけませんよ?」
祐「…すみません…ハァ……そ…それで、ドクター、梨乃は……梨乃は大丈夫なんですか?」
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