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検査の結果を聞き終えた私は根本さんとともに先に診察室を出た。
ゆうちゃんはドクターと少し話をするということで、私は外で待つようにとのことだ。
根本「検査結果も問題なくて良かったです。」
いろいろ調べた結果、私のカラダに異常なかったという。
見落としがあってはとドクターは熱心に画像を見ていたようだけれど全く問題はないとのこと。
それにしても、あの直後に生理が始まったとは―――
段々と出血が酷くなっていくはずである。
ドクターが言うにはアノ行為が生理を助長したのではということ。
生理時、女性のカラダは敏感になっているもの。
ソノ行為が生理を引き起こすこともあるという。
よくよく考えてみればそろそろ生理が来る頃であった。
ここ最近、忙しかったということもあり、すっかりそのことを忘れていたのだ。
梨乃「すみません。お騒がせしました。」
もちろん痛みは彼との行為の時のもの。
今までそんな経験がなければ、当然痛みは伴う。
だが、二人のペースでコトを進めれば、いずれ問題なくコトを行えるようになるとのこと。
少し無理をし過ぎた結果だろうから、今後は気をつけるようにとのことだ。
これは完全に私の焦りから引き起こしたこと。
情けなくて落ち込んでしまう。
恋愛偏差値が低いと散々、河合に言われているがそのとおりである。
根本「でも良かったわ。何事もなかったわけだし。ん、焦らなくてもいずれその日は来ますから…」
もうこんな恥ずかく情けない思いなどしたくない。
この件に関しては、もう背伸びはせず彼に任せるのがいいだろう。
根本「梨乃さんは丈夫な体ですもの。きっとこれからも元気でいられるはず。祐さんを……幸せにしてあげて下さいね。」
これまでゆうちゃんは大切な人が命の危険に晒されるのをたくさん見てきた。
若いころにはお母さんを亡くし、最近ではお祖父さんも。
なんとか命を取り留めたけれど、以前愛していた人が命の危険に陥るということを目の当たりにしたこともある。
大切な人がいなくなるというその怖さをよく知る彼。
だからこそ、今回だってあんな風に感情を露わにしたのだ。
彼の心の闇に『死の恐怖』というものがいつもあるのなら、私はそれを感じさせないようにしなければいけない。
だとしたら私のすべきことは―――
梨乃「…根本さんっ、私、必ず彼を幸せにします。彼よりも長生きしますから。」
私はそう口にしていた。
もう、彼に不安を感じさせない。
あんな表情をさせない。
彼よりも一日でも長く生きる。
彼の傍にいる。
そう誓った瞬間―――…
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