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総会当日の朝―――
俺は部を休み生徒会室へ向かっていた。
週末に陸上の大会を控えているいうこともあり、総会に関して今日まで会長である梨乃にほぼ任せきり。
だが、さすがに当日は任せきることはできない。
彼女は気にしなくてもいいというが、そういうわけにはいかない。
それは俺が副会長という立場でもあるから。
今日の総会は先日入ってきた一年生の役員を育てるという機会でもある。
二人でやってしまえば、そう心配もいらないし、手もかからないが、まだ入学したての一年生が……となるとフォローは必須。
おそらく彼女も今日は早く来るはずだ。
だけど、俺は心配していた。
昨日の彼女の様子―――
俺は違和感を感じていた。
そしてその理由がようやく理解ったのだが――…
分かり切っていたことではある。
彼女が婚約者の大泉さんとカラダの関係を持っているということなど。
そして、もうそういった『コト』など最後まで終えているのだろうと思っていた。
ところがだ。
彼女はまだ『ソレ』を終えていなかったようなのだ。
しかし、遂にその一線を越えたという。
よほど大泉さんの『モノ』が凄かったのだろう。
彼女はその痛みを隠し、引き摺るようにして学校へやってきたらしい。
そんな彼女に気づいたのは河合先生。
すぐに鎮痛剤を手渡したという。
それを聞き、俺はようやく彼女の一連の行動に納得がいった。
休み時間、妙に教室からいなくなると思っていたが、それは薬を服用する目的があったからだろう。
それにしても、そういった痛みを聞き出すこともなく察することのできる河合先生は恐るべしだ。
しかし、昨日の今日。
梨乃は大丈夫だろうか。
総会では会長である梨乃はステージ上にほぼいることになる。
全校生徒の前で話すことなど慣れている彼女だが、場合によったら俺がその役割を担うことも考えるべきではないのか。
だけど、それを提案する理由付けが見つからない。
しかも本番当日にこんな提案をすれば、余計に混乱する役員も出てくるだろう。
どうしようもできない自分がもどかしい。
そんなことを考えていたら河合先生と遭遇した。
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