明かされた事実

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振り向けば、さっき俺も通ってきた西門に彼女の姿が見えた。 彼女は俺たちに気づくと驚いたような顔をした。 段々とこちらへ近づいてくる彼女。 木々の隙間から差し込む日差しが彼女を照らし、彼女の美しさを更に引き出している。 まるでオーラ―を放っているようだ。 河合「…フッ……妙にスッキリした顔しやがって……」 昨日とは違う彼女がそこにいる。 痛みに苦しんでいる感は全くない。 その姿はいつもの『生徒会長 藤沢梨乃』だ。 高嶺の花と言われるに相応しい雰囲気を更に醸し出している。 梨乃「おはよう、奏多。早いね。」 奏多「あ、おはよう。俺もこれから生徒会室行くから…」 梨乃「え?だって朝練あるでしょ?」 奏多「今日は休む予定だったから。」 梨乃「…そうなの?ん、でも、ちょっと追加事項ができたから助かるかな。あ、先生、昨日は有難うございました。」 俺と梨乃のやりとりを見ていた先生。 目を向ければそこにはあきれ顔がある。 河合「ったく、普通、教師の俺に挨拶が先だろうよ?」 ようやくその存在を認め声をかけてくれたが後回しにされ少し不服そうだ。 梨乃「すみません。副会長に至急話すことがあったので……」 そう言って穏やかな表情を俺に向ける彼女はやけに大人びている? 河合「……ったく、で、西門(そこ)から来たってことは今日は愛しのゆうちゃんに送ってもらったってことか。さすが過保護。で?今日の調子はどうよ、会長さん?」 先生は俺が『ソノ』ことを知らないという風に配慮したのだろうか。 彼女が答えやすいように質問を投げ掛けた。 梨乃「…あ、もう大丈夫です。」 だが、それは少し違う解釈だったのだろうか。 次の瞬間、先生は信じられない台詞(セリフ)を投げ掛ける。 河合「なら良かった。ん、実はさぁ、副会長も心配してたんだよなぁ?」 奏多「……えっ……は?!」
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