明かされた事実

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まさかそのタイミングで俺に話を振ってくるなど思いもしなかったから俺は焦った。 梨乃「えっと……心配って……」 どう答えていいのか俺が迷っているとすぐさま先生はフォローを入れた。 河合「昨日な、会長の調子が悪いんじゃないかって、副会長、気にしててさ…」 梨乃「え…そ……そうなの?ん……まぁ、そう……かな。あ、でももう大丈夫だから……」 先生の言葉に内心、彼女も焦っていたのではないだろうか。 学校で、しかも俺の前でアレに纏わる話題が出たのだから。 そんなドギマギする俺たちを意味深な顔で交互に見つめている先生は本当に意地が悪い。 河合「だとさ。まぁ、いつも一緒にいるからなぁ。そりゃ気づくよな。ん、月一のものはどうしてもなぁ……ハハッ…まぁ、会長のフォローしてやってくれ。じゃな。」 先生はやはり教師だ。 言っていることにデリカシーがない。 だが、それは今の彼女にとって絶妙な配慮。 こんなこと普通の教師がサラッと言えるだろうか。 かなり奇抜な教師だからいつ免職になっても不思議ではないと思っていた。 だが、生徒には慕われ、教師陣もその存在を認めている。 もしやこの先生は教師という職業が適職なのか。 だからこそ、陸上部の前顧問の坂田先生も呼び寄せたとも思える。 先生が去っていくと彼女が言った。 梨乃「奏多……心配してくれてたんだね。ごめん。ん、もう大丈夫。だけど、今日はちょっといろいろ頼むかもしれないけど……いい?」 表面的には絶好調のように見えてまだ本調子じゃないのかもしれない。 それはそうだ。 人生の中で一大イベントとでも言うべきことが決行されたのだ。 それにどんなことであっても初めてのことの後というのはドッと疲れが出たり情緒不安定になっているもの。 奏多「当然だよ。じゃ、早速その至急の追加案件を聞かせてもらわないとな。」 梨乃「うん。じゃ、行こうか。」
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