記憶の断片

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駆けてきた廊下の突き当たりを曲がるともうすぐ教室。 HRのチャイムが鳴ってだいぶ経つ。 今頃、私が来ないことに奏多が心配しているだろうか。 私は足早に廊下を歩いていく。 教室からザワつく声が聴こえてくる。 どこのクラスが騒いでいるのだろうか。 鳴りやまないその声は女子の声が大半か。 その奇妙な声に頭を傾げながら廊下を歩いていけば、なんとその声はうちのクラスからのもののようだ。 うちのクラスは比較的元気な生徒達が揃ってはいる。 にしても、HRにこんなにも騒がしいのは珍しい。 しかし、こんな時はこういった騒がしい方が私にとっては有難い。 生徒会長たるもの、用事とはいえ、遅れて教室に入るのだ。 静寂に包まれた教室に入り込むよりはよほどマシというものである。
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