待ち焦がれた瞬間

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オレンジ色の光が差し込む生徒会室。 気づけば外はもう日が暮れかけている。 季節は初夏を越え梅雨の時期。 だが、まだこの土地にその気配はない。 天気予報では来週から雨が降るとのこと。 梅雨に入る前の貴重な週末を迎える今日は特別な日。 教室の壁に掛けられてある時計を見ればもう予定の時間。 来週は総会。 準備はほぼ整ってはいる。 けれど念には念を入れ、今日はひとり生徒会室に残り最後の追い込み。 副会長の奏多は県大会目前。 明日はパパと恒例の特訓を朝からみっちりやるとか。 大切な友達が頑張っている。 ならば私がフォローするのは当然のこと。 来週は怒濤の日々になるのは必至。 となると、明日はやはりX-DAYとなるのか。 急に緊張が走った――― 脳裏に過るのはアノこと。 こんなこと考えているなんて生徒会長失格だ。 邪念を振り払うかのように自分の頬を叩いた。 梨乃「ん、帰らなきゃ。」 帰る準備を手早く済ませると私は家路を急いだ。
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