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目の前で繰り広げられているこの光景は一体何なのか―――
俺は呆然とした。
HRの時間になってもなかなか教室へこない彼女。
今朝、朝練の最中に生徒会室の窓が開いているのは確認。
今日も梨乃は朝から生徒会室にいたのは知っている。
しかしチャイムが鳴ってもなかなか教室にやってこない。
無理をさせてしまったのか。
俺の分まで総会の仕事をさせてしまっている。
やはり生徒会室に寄って様子を見てくるべきだったか。
そんなことを思っていると教室の前方のドアがガラリと開いた。
担任「HR始めるぞ~!席に着け~!」
担任は教壇に立つとグルリと辺りを見回す。
担任「ん?藤沢はまだ来てないのか。まぁ、いい。」
梨乃は教師達の間でも信頼が厚い。
だからこんな時、余計な詮索はされることは一切ない。
担任「あー、突然だが今日からこのクラスに新しい仲間が入る。ん、アームなんだったか……あ、まぁ入ってきなさい。」
まだ名前を覚えていないのだろうか。
にしてもアーム?
名前が気になる。
もしかすると日本人ではないのか。
とその時、前方のドアから長身の男子生徒が現れた。
転校生「Hi !」
その瞬間、教室内がザワついた。
やけにフランクな感じを醸しながら入ってくる男子生徒。
帰国子女か。
いや、よく見ればハーフっぽい顔立ちにも見える。
ブラウンのヘアにグリーンの瞳。
女子たちの目が一気に輝く。
それほどにこの転校生はいわゆる『イケメン』というヤツだ。
担任「静かに。あー…自己紹介……って分かるか……」
転校生「I see. 大丈夫です。」
そういうと転校生は教壇の前に立つ。
その姿は自信有り気で堂々としている。
転校生「初めまして。アレクサンダー・アムールスキーです。アメリカから来ました。仲良くして下さい。」
そう言って自然なウィンクを飛ばせば女子生徒の悲鳴。
日本の女性など瞬殺か。
担任「あー…アムール…スキー君はお父さんの仕事の都合で日本へ来たそうだ。まぁ、仲良くやってくれ。あぁ、まだ時間はある。質問はあるか?」
その瞬間、女子たちが我こそはと手を上げる。
担任「じゃぁ、篠原…」
当てられた女子生徒は今にも机を蹴り倒すのではないかと思うほどの勢いで立ち上がった。
篠原「キャー!当たった!ねぇ!彼女いるのー?」
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