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もちろんその質問は他の女子たちも興味があったようだ。
一言一句聞き逃さないようにと一瞬のうちに静まり返った。
転校生「Oh my goodness……あー…今は…特別な人はいないよ。」
その回答を待ち望んでいたのだろう。
女子たちは大喜び。
担任「そんな質問じゃなくてだなぁ、あ、広井…なんだ?」
そこへうちのクラスで一番のムードメーカーと言われる広井が挙手。
広井「なぁ!クラブとか何入んの?うちサッカー部募集中だけどこねー?」
その目は一体何を企んでいるのだろうか。
広井のその挑発にも似たような目。
気になる―――…
転校生「…サッカーか。悪くないね。ん、考えておくよ。いろいろ見てから決めてもいいかな?」
おそらく入る気はないのだろう。
だが、相手に不快感を与えずに牽制するところはさすがアメリカ人というべきか。
広井「別にいいけど。ん?サッカーもしかして初心者だったりする?」
転校生「いや、クラブチームに所属していたこともある。でも、こっちではちょっと違ったこともいいかなって…」
その瞬間、またもやザワつき始めた。
男子生徒「クラブチームだって。もしかしてめっちゃ上手いんじゃね?」
女子生徒「絶対上手だよ。だってあのスタイルでしょ?っていうかスポーツというスポーツは何でもできそうじゃない?キャー…」
陥れようとした質問が逆効果だったようだ。
女子の反応に広井はつまらなさそうな顔を見せた。
転校生「クラブチームって言っても大したことないよ。ボクはそんなに目立った方じゃなかったしね。きっとキミの方が上手いと思うよ?もし入ることがあったらいろいろ教えてもらわないとな。」
その言葉を真に受けたのか広井が調子づいた。
広井「そっかそっか。じゃぁ、入る気になったら来いよ。待ってっからよ。」
まんまと転校生にやり込まれていることに広井は気づいているのだろうか。
だが、ここはスルーが良い。
これはクラスの平和の為、転校生の為とも言える。
そうしていくつかの質問が飛び交っている時だった。
後方のドアがガラリと開く音が聴こえた。
その音に振り返ると、そこには俺が待ちわびていた彼女がいた。
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